2009/02/07

EDS Fair 2009 ・・・ 雑感 (Part 1)

もう 2週間以上も前になるが、EDS Fair 2009 というイベントに行く
機会があった。

EDS Fair は Electronic Design Solution Fair が正式な名前で、
確か 2000年ごろまではEDA Techno Fair という名前だった。 
文字通り EDA (Electronic Design Automation) ツールの展示会
だったわけだが、当時は外資系大手のEDA企業をはじめ、
海外・国内のEDAベンチャー企業に加え、ASIC事業 (Application
Specific IC という名の、狭義ではユーザ個々のカスタムLSI) の
ベンダーである国内の大手半導体企業も数多く出展していたし、
設計ハウス、デザイン・サービス企業も含め、それなりに盛況だったと
思う。

2001年ぐらいだっただろうか。
それまで 独自に展示会&カンファレンスを行っていた
FPGA/PLD カンファレンスが、EDA Technofair に合流する形に
なったのに伴い名称も一新して、現在のEDS Fair になったのだと
記憶している。

その後の数年は良かったようだが、最近は EDS Fair の方向は
最先端の技術に向かうため、設計上流の、たとえば高位言語設計とか
検証プラットフォームとか、あるいは ICデザイン側の配線テクノロジー
とかDFM (Design For Manufacturing)、ICデザイン上の電力や
信号品質の問題・チャレンジに対する設計・検証・解析ツールという、
一般のロジック設計、機器開発のエンジニアには遠い世界に
突き進んで行ったように思う。

そもそも、半導体プロセスの微細化を競争するだけで、
ユーザ視点不在の半導体(ASIC)ベンダーが対価としてもとめる
開発費用の高騰は、一般の機器開発メーカにとってはもはや
ASICを使うという選択肢を事実上持つことができないという現実、
EDAベンダーも、実は一般の機器メーカに毎年ライセンス更新(販売)を
行うよりも、さまざまな複数のツールや多数のライセンスをまとめたり、
それを複数年で契約するなどに走ったあげく、それも頭打ちになり、
一般の機器メーカには目を向けなくなった。
そして半導体メーカとのビジネスに集中するという戦略によって、
結果、このような展示会の存在意義を自ら失わせてきたのではないか、
と思う。

実は、米国のDACと同様、すでに数年前から、一般の多くの
機器メーカにとって、現実的なビジネスの役にたつイベントでは
なくなっていて、業界内の年に一度の同窓会と化しているというのが、
現実なのではないだろうか。

事実、国内の半導体メーカーは 3年前ぐらいから全く出展していないと
思う。
EDS Fair はパシフィコ横浜で開催されているが、年々使用する
展示会場の面積が縮小している。 
出展者数にしても、毎年 IPのベンチャー企業、大学研究室、
アジア各国の新興企業などを一同に集めるパビリオン方式で、
参加数を維持しているようなものだ。

もともと、この展示会は衰退していると思っていたが、今年、
わけあって数年ぶりに訪れてみたところ、衰退という生易しいもの
ではなく、すでに瀕死の状態、いや危篤状態だと感じた。 
そして大問題なのは、これを運営している、あるいは実行委員として
活動している方々の、世間との大きなギャップだということだ。

長くなるので、この続きはまた。